離婚離婚が最終的に合意に至った場合、「調停調書」という書面が作成されることになります。「調停調書」は裁判の判決と同等の効力を持つ決定事項です。離婚調停の際に合意された内容である、財産分与、養育費、慰謝料、親権などが全て法的に決定します。
そして、戸籍上でも「調停離婚」と記されることになり、決定された慰謝料など支払わなかった場合は、強制執行が行われるなどの強制力が働きます。
なお調停調書作成後は、取り下げができなくなり、無効や不服の申し立てもできなくなります。ですので、調停委員に合意を勧められた際には、納得できなければ、納得できるまで話し合い、簡単に合意しないようにしましょう。
もっとも調停委員には合意を強制する権限はありません。どうしても合意ができない場合は、合意をしなくても問題はありません。
調停が成立して、調停調書が作成されたこの日が離婚成立日となります。しかし、戸籍の変更と離婚届の提出を行わなければ、法律上は離婚したと認められません。
調停成立後の10日以内に、申立人が「離婚届」、「戸籍謄本」、「調停調書謄本」を夫婦の本籍地か申立人の市区町村役場へ提出する必要があります。
届け出る期間が過ぎた場合でも離婚が無効になることはありませんが、戸籍法上の制裁として3万円以下の過料を徴収されるので、その点は気をつけましょう。
離婚調停で養育費など金銭にまつわる効力の詳細
金銭にまつわるトラブルは、離婚が成立してからも起こりやすい事です。家庭裁判所から履行勧告があり、それでも行われない場合には、履行命令の申立てをする事ができます。調停条項の中で特に金銭支払についての履行を確実にするための方策は民事執行法改正法でも設けられています。
これは養育費などの支払を命じられた当事者が会社員など給料をもらっている場合に、給料差押えを一度すれば長期間の養育費支払いの強制執行をカバーできるようにするものです。いわゆる給料天引きというものです。
しかし、現実的には、調停調書が作成されて離婚だけが成立し、慰謝料支払い不履行になっても相手が自営などの場合は、給与の天引きも出来ず、担保や財産も無ければ現実的にはうまくいかない事も多いです。
民事事件にはそんなに強制力は無いため、強制執行も財産が無いと、効力がなかなか期待出来ません。そのため、養育費などは、一括か、少ない回数での受け取りを条件とすると良いでしょう。
離婚調停のデメリット
離婚調停は費用が安いことや裁判の負担を経ずに相手側と離婚できる場合があることからメリットが多いように思えますが、デメリットも少なからずあります。
まず、平日の昼間に調停が行われることが挙げられます。土日祝日が休みの人の場合、休みを取らないといけません。また一カ月に1回のペースで家庭裁判所へ出頭しないといけない生活が約半年は続くことになるので負担になります。
そして、調停委員との相性もあります。調停委員は中立の立場ですが、場合によっては、敵に見えたり、意見を押し付けられたり、説教されたり、とストレスになることもあります。下手をすると納得がいかない方向で話が進められ、不成立で終わることもありえます。
あるいは納得のいかない合意で成立してしまうこともありえます。苦労して出頭しても不調に終わり、その後、裁判に発展する場合もあります。
また、離婚調停を経て離婚が成立した場合、戸籍には離婚調停成立日が記載され、「協議離婚」(円満離婚)ではなく、「調停離婚」したことが記録で残ることになります。
調停離婚したことは、協議離婚の場合と比べ、まるで言い争った結果、離婚をした、というイメージが言葉にあるので、戸籍を見返すときに不快な気持ちになるかもしれません。